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休眠会社の買取は危険? 個人M&Aの選択肢として検証してみた

更新日:5月29日

休眠会社を買取って、起業・副業を検討されている方も多いと思います。


実際に休眠会社は安価で譲渡を希望されることが多く、ゼロから会社を設立する場合と比較して費用や手間が省けることも事実。


しかし休眠会社の買取にはメリットがある一方で、デメリットや注意点がいくつか潜みます。

そこで本記事では、個人M&Aで休眠会社の買取を実施する方法や、メリット・デメリットをまとめ注意点まで詳しく解説していきます。



売り手と買い手の双方の立場でみるM&Aの相場

休眠会社とはどんな会社?

休眠会社とはどんな会社?

最初に休眠会社とはどのような会社なのかを振り返りも兼ねて説明します。


休眠会社とは、最後に登記があった日から12年経過している株式会社


会社法第472条によると、最後の登記から12年を経過している株式会社を休眠会社と定めています。


そもそも会社の登記は、会社設立時だけではなく役員変更登記など数年おきに登記申請を行わなければなりません。


たとえば非公開株式会社の場合、取締役および会計参与、監査役の任期を最長10年としており、少なくとも10年に一度登記申請を実施します。


つまり休眠会社の概念である「最後に登記があった日から12年経過している」ということは、一定期間において役員変更登記を行っていない会社となるわけです。


なお休眠会社にするには、法務大臣による公告の日から2ヶ月以内に「まだ事業を廃止していない」旨の届出を行います。


加えて役員変更等の登記申請をしなければ、みなし解散とされて会社が解散したものとみなされてしまいます。


みなし解散とみなされると、その後3年以内に株主総会の特別決議により株式会社を継続できますが、複雑な登記手続きと登記懈怠に伴う罰金を支払わなければなりません。


休眠会社を買取る際は、対象の会社がみなし解散となっていないか確認しておくといいでしょう。


なおみなし解散とならず、休眠会社となっている会社を買取る場合は、異動届と会社継続登記を行えばすぐに再開可能です。


休眠会社について簡単にまとめると、一定期間で事業活動を行っていない会社と理解しておくとわかりやすいですね。


参考:法務省

休眠会社の買取方法

休眠会社の買取方法

それでは休眠会社を買取る方法を解説していきます。


実は休眠会社とはいえ、買取る場合は基本的には一般的なM&Aと手順は同じです。


注意点として、個人が会社を買う場合に利用するM&Aマッチングサービスには休眠会社の掲載数があまり多くないことが現状です。


これについては後ほど詳しく述べますが、休眠会社の買取にはいくつか注意点があり、個人が買うにはリスクが大きいことが考えられます。


なお基本的なM&Aの流れについては、別記事で詳しく解説しています。詳しく知りたい方はチェックしてみてください。




休眠会社の買取に発生する費用はどれくらい?

休眠会社の買取に発生する費用はどれくらい?

それでは休眠会社の買取に際し、どれくらいの費用が発生するのかを確認していきましょう。


ここではM&Aマッチングサービスのバトンズに掲載されていた休眠会社を見ていきます。

宮崎県の休眠会社

こちらは宮崎県の休眠会社の案件です。


譲渡価格は100万円未満。売り手との交渉次第では安価での買取が実現できそうです。


なお業種や財務状態などの記載がなく、掲載情報だけで判断するには材料が足りないともいえます。


この場合は、バトンズの質問機能を使って、気になる点をいくつか確認しておくといいでしょう。


続いて宮城県の建設会社の案件です。

宮城県の休眠会社

業種は建設業。譲渡希望価格は30万円と低価格で、資本金は4,000万円となっています。


また法人口座を保有しており税金の滞納もなし。


ただし簿外債務を含めた債務が法人分として約300万円ある点と、許認可を保有していない点が気になるところです。


つまり建設業といえど、許認可を得ていないためすぐに事業開始とはいきません。


なお今回はM&Aマッチングサービスのバトンズにて休眠会社を閲覧してみましたが、トランビやスピードM&Aについても休眠会社の掲載数が多くありませんでした。


掲載数が少なく相場がいくらと判断するのは難しいですが、個人が買える休眠会社の多くは100万円未満でも十分買取可能と見ていいでしょう。



休眠会社買取の4つのメリット

休眠会社買取の4つのメリット

それではここから休眠会社を買取るメリットを見ていきます。ここでは以下の4つをメリットとして挙げてみます。

  1. 安価で買取れる

  2. 信用(社歴)の獲得

  3. 許認可の引継ぎ

  4. 会社資産の引継ぎ

以下で詳しく見ていきます。


①安価で買取れる

先ほどバトンズに掲載されている休眠会社の案件を見て頂いたとおり、休眠会社は100万円以下で買える場合が多く比較的安価で取得可能です。


そもそも休眠会社は事業を行わず休止中であることから、安価で取得できる点は納得できます。


事業を引き継ぐことはできませんが、たとえば資本金3,000万円の会社を100万円で取得すれば、たった100万円で

3,000万円の会社を設立したことになるわけです。


この点は休眠会社を買取る大きなメリットといえるでしょう。


②信用(社歴)の獲得

①安価で買取れる、と同じく休眠会社を買取ることで信用も獲得できます。


会社における信用とは主に社歴やこれまでの実績ですが、たとえば20年前に設立し事業を行ってきた会社に対しては一定の信用が与えられます。


現時点では休眠会社であっても、これまでの実績があれば事業再開時に借入れ等もしやすくなるでしょう。


ただし会社設立してから休眠会社の状態が続いていると、仮に社歴が10年あっても信用が獲得できるとは言い難いです。


そのため休眠会社を買取る際は、過去にどのような事業で実績を上げてきたのかを確認しておくといいですね。


③許認可の引継ぎ


たとえば調剤薬局を開設するためには、薬局開設許可と保険薬局の指定、さらには調剤を行える薬剤師が常勤しているなど条件が設けられています。


これらの許認可を取得するためには、ある程度の時間と人材確保のためのお金が必要です。


しかしたとえ休眠会社であったとしても、薬局開設許可と保険薬局の指定等の許認可を取得している可能性があるわけです。(休眠会社であるため薬剤師の確保は買収後に必須になります)


他にも飲食店であれば、飲食店営業許可を保健所に申請し取得しなければなりません。


このように休眠会社の中には、すでに許認可を取得している会社もあり、取得までの時間やお金を大幅に削減できるメリットがあります。


④会社資産の引継ぎ


休眠会社とはいえ、会社として一定期間事業を行っていると資産となるものを保有している可能性があります。


たとえば、法人口座や生産設備、オフィスなどの不動産です。


ただし会社資産を多く保有している休眠会社は、当然ながら譲渡価格が高くなることを理解しておきましょう。



休眠会社買取の3つのデメリット

休眠会社買取の3つのデメリット

ここまで休眠会社の買取にはメリットを見てきましたが、もちろんいくつかデメリットもあります。

デメリットについては以下の3つを挙げてみました。

  1. 金融機関のブラックリストに載っている可能性がある

  2. 簿外債務の発生

  3. 繰越欠損金が計上できない可能性がある

以下で詳しく見ていきます。


①金融機関のブラックリストに載っている可能性がある


金融機関のブラックリストに載っているということは、会社の信用がない状態といえます。


この場合、買取後に銀行から融資を受けようと思っても、信用がないため融資が受けられなくなります。


なお対象の会社がブラックリストに載っている場合は、必ずしも会社が赤字であるわけではありません。ブラックリストに載っていることと、赤字であることは全くの別物です。


逆をいえば、会社が黒字であってもブラックリストに載ってしまうこともあります。


買収後にブラックリストに載っていた場合、損害賠償請求等は可能ですが、可能であれば買取前にこのあたりは精査しておいた方がいいでしょう。


なお会社がブラックリストに載っていないか確認するためには、司法書士または行政書士などの専門家に依頼しなければなりません。


もちろん専門家に依頼すると費用はかかりますが、心配であれば確認しておいてもいいですね。


②簿外債務の発生


簿外債務については、どのような会社買収でも発生するリスクはありますが、休眠会社の場合は特にその可能性が高まります。


休眠会社は一定期間事業を行っていないため、債務などのリスク管理ができていない場合があるためです。


また帳簿をしっかり記帳していない場合もあるため、事前に簿外債務発生のリスクを洗い出すことは難しいです。


なお休眠会社になると法人税や消費税が課せられなくなりますが、会社が不動産を保有している場合は固定資産税が課せられます。


当然ですが、固定資産税は毎年支払わなければならず、仮に支払われてなければ買取後に買い手が支払うことになります。


休眠会社の買取は、簿外債務が発生するリスクが一般的な会社に比べ高くなる点を理解しておきましょう。


③繰越欠損金が計上できない可能性がある


繰越欠損金とは、赤字を翌年度以降に繰り越すことで将来の法人税負担を軽減できる制度。


まずは繰越欠損金についてわかりやすく解説するために、例を出して考えてみます。

  • 昨年の損益:-1,000万円

  • 今年の損益:+300万円

※今期の損益は、昨年の損益-1,000万円と今年の損益+300万円と合算され-700万円の損益として計上可能


会社経営をする場合、利益に対して法人税が課せられます。


法人税は利益が出た時だけ課税され、赤字の場合は法人税を支払う必要がありません。


上記の例では昨年-1,000万円と赤字になっており、この赤字を繰越欠損金として翌年に繰り越しが可能です。


ここで「繰越欠損金がある休眠会社を買取って、買収と同時に節税できるのでは?」と思った方もいらっしゃるかもしれません。


残念ながらこれについては難しいと考えていいでしょう。


そもそも繰越欠損金が計上できる時は、法人が会社を合併した場合でかつ、その合併が「適格合併」である必要があります。


つまり個人ではなく、法人が会社を合併した場合に繰越欠損金が活用できるわけです。


適格合併の要件については割愛しますが、個人が自身の所得税等の節税目的で会社を買う場合は、繰越欠損金が認められないと考えていいでしょう。


ただし休眠会社を買取った後、事業運営上発生した利益に対しては繰越欠損金の活用が可能です。


たとえば繰越欠損金が1,000万円ある休眠会社を買取った後、翌年に事業運営において発生した利益と相殺させられます。


なお繰越欠損金の要件等については、以下国税庁の公式サイトをご確認ください。




個人が休眠会社を買取する際に気をつけたいポイント

個人が休眠会社を買取する際に気をつけたいポイント

それでは個人が休眠会社を買取る場合に気をつけたいポイントをまとめてみます。


基本的にデメリットの部分でも触れましたが、特に注意すべきポイントを2つに絞って解説していきます。


1つ目は休眠会社としている理由を明確にしましょう。


先ほどのデメリットの部分で挙げましたが、買取対象の休眠会社が金融機関のブラックリストに載っている場合があります。


たとえば、法人としてブラックリストに載ってしまったため休眠会社にした、という理由かもしれません。


このように、休眠会社を買取る場合は、なぜ休眠会社にしたのか理由を売り手に確認しておくようにしましょう。


続いて2つ目は休眠会社とはいえ、財務状態はしっかりと確認しておきます。


仮に資本金が1,000万円の会社で、かつ資産もある休眠会社であっても債務が4,000万円あるなど財務状態が不健全な場合もあります。


休眠会社とはいえ会社を買うということは、会社のものが自分のものになるため、債務があった場合には支払う義務があるわけです。


この2点については、休眠会社の買取前にしっかりと押さえておきくといいですね。



まとめ:休眠会社の買取は個人M&Aの選択肢になるか?

結論:休眠会社の買取は個人M&Aではリスクが高い

今回は個人で休眠会社の買取をする方法や、メリット・デメリットをお伝えしてきました。


最後に結論を述べると、個人M&Aにおいて休眠会社の買取はリスクが高いため可能であれば避けた方がいいでしょう。


確かに安価で買える点や許認可が取得できる、信用や社歴を獲得できるなどのメリットもありますが、簿外債務の発生リスクなどを踏まえると避けた方がいいと考えれれます。


またこのようなリスクから、M&Aマッチングサービスでも休眠会社の掲載件数は少なく、休眠会社を探すのも一苦労です。


個人M&Aにおいて大切なことは、「会社を安く買う」ではなく、「自分がやりたい事業」「後継者不足解決に貢献したい」など明確な目標を持って取り組むことです。決して「安い」「社歴を買う」など明確な理由がないままM&Aを進めないようにしましょう。

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M&Acompassは、個人M&Aの買い手に対する伴走支援です。これまでM&Aの専門家のサポートが十分に届いていなかった個人の買い手向けの伴走支援であり、個人M&Aの成約を目指すためのM&A戦略立案・案件探しといった初期的な工程からクロージングまでを支援するサービスです。


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