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地方で副業M&Aを成約|少ない選択肢の中から安定収入を得られる案件を取得

更新日:4月22日

給与カットをきっかけとして副業M&Aを検討し始めた橋本さん(仮称)は、「地方での成約」「副業M&Aの成約」というハードルを乗り越え、見事にM&Aを成約。現在は、カットされた分の収入をM&Aで取得した事業で埋めています。


「地方で、かつ副業で探すのだから、業種にはこだわらない。本業を続けながら管理できる案件を淡々と探すのみ」と割り切って案件検討を行った橋本さんのM&Aは、副業M&Aの成約を目指す個人の買い手の方に、ぜひ参考にしてほしい好例です。


今回の記事では、インタビューさせていただいた内容をもとに、橋本さんのM&Aを時系列に沿って紹介します。地方でM&Aを成約させる方法、帳簿が整理されていない案件の分析・調査についても触れているので、最後まで読んでみてください。


公式LINE

コロナで給与1/3カット|収入をカバーするにはM&Aしかなかった

成約者イメージ

―はじめに、ご経歴について教えてください。


橋本さん

私は、地方の大手ホームセンターに採用担当として入社したところからキャリアをスタートさせています。グループ会社内で、総務、工場管理、商品開発、営業、経営企画などのさまざまな業務に携わりました。その後、Web制作会社に転職し、営業や事務をはじめとする業務を行っています。現在もWeb制作会社に務めています。


―M&Aに関心を持ったのはどのようなタイミングでしたか?


橋本さん

M&Aを検討し始めたのは、コロナ感染症の影響で給与の1/3がカットされたためです。現在の仕事が好きなので給与カットがあっても転職を考えませんでしたが、カットされた分の収入をカバーしなければなりませんでした。不労所得を得る方法を探したり、副業を探したりしましたが上手くいきませんでした。50代のため、アルバイトも満足に見つけられませんでした。そのような中で、インターネットを通してM&Aという手法を知りました。特に起業したいなどの考えはありませんでしたが、背に腹は代えられなかったというのが当時の本音です。


―はじめから副業としての収入を得るためのM&Aを検討していましたか?


橋本さん

そうです。私は現在の会社が好きです。会社には、20代のスタッフも多く、世代を超えたコミュニケーションができる点も気に入っています。また、会社員だからこそ得られる固有の経験があると考えています。そのため、あくまでも副業として管理運営できる事業を探そうと考えていました。不安がなかったというと嘘になりますが、前職で経営企画を経験していることもあり、「副業として自分の力量でできる案件を探せばなんとかなる」と楽天的でした。


地方の副業案件にしぼって検討|検索では、3件のみがヒット

地方の副業案件

―ここからは実際の案件探しについてお聞きしたいと思います。どのように案件を探しましたか?


橋本さん

M&Aプラットフォームを利用して、次の条件で検索を行いました。


  • エリア:居住している地方都市のみ

  • 規模:譲渡価格で200万円以内

  • 業種:指定なし


本業を続けるため、居住エリア以外の案件は除外しました。予算としては500万円以上確保できていましたが、全てをM&Aに使うのはリスクなので、200万円以内で取得できる案件にしぼりました。業種をしぼらなかったのは、副業として取得できる案件はそもそも数が少ないだろうと考えていたためです。


自分のやりたいビジネスを取得するのではなく、管理運営に工数がかからないビジネスを取得することを優先しました。このように自分なりに色々と考えて検索条件を定めましたが、実際に検索すると3件しか案件がヒットしませんでした。


―3件の中から選ぶことに抵抗や不安はありましたか?


橋本さん

私の目的は、あくまでもカットされた収入をカバーすることでした。そのため、3件の中から案件を選ぶことに抵抗も不安もありませんでした。ただ、3件のうちの1件は、他の方と成約したのか早々にプラットフォームから消えてしまいました。3件のうちの1件が消えたことにより、「M&A案件は常に他の人も検討している。すぐに行動しないとチャンスを掴めない」と実感したことを覚えています。


―どのように売り手さんとの交渉を開始したのでしょうか?

橋本さん

M&Aプラットフォームに、売り手さんに送るメッセージの例文がありました。そのまま使うのは抵抗があったため、例文にアレンジを加えて「自分自身の強み」「売り手さんに提供できるもの」「ビジネスをどのようにサポートできるか」を明確に記載して送付しました。3店舗を有するレンタルフォトスタジオの案件だったため「早急に現場を見せてほしい」旨も記載しました。


売上帳簿も顧客リストもなし|かえって燃えた案件分析と交渉

分析と交渉

―案件の分析と交渉について教えてください。


橋本さん

案件の分析には骨が折れました。売り手さんに何を聞いても、データがありませんでした。年間の売上実績もなく、顧客リストもありませんでした。Webサイトはありましたが、5年以上更新されていませんでした。このように分析に使える資料がほとんどなかったのですが、なぜかかえって燃えました(笑)


一方で、ビジネスモデルは非常にシンプルでした。ビジネスの規模も小さかったため、さまざまな課題も規模の小さいものだと感じました。フォトスタジオは内装も荒れており、冷蔵庫の電源が切れていて、ソファも破れていましたが、不思議と一定のお客さんが利用していました。お客さんは、大きな駅から近いという立地の良さと価格の安さで利用していたようです。後になってわかったのですが、お客さんの多くはコスプレイヤーであり、県をまたいでコスプレ仲間と集まり写真を撮っていたようです。そのため、立地の良い本件フォトスタジオが利用されていたのですね。また、繁華街も近いためナイトワークの方の利用もあります。


このように対象案件のビジネスを知っていくと、どこに手を入れればビジネスを維持できるかが見えてきました。そのため、交渉中からフォトスタジオの掃除や整理もさせてもらいました。強引だったとも思いますが、売り手のオーナーはビジネスに疲れており、早く譲渡したいと考えていたようです。


―なかなか大変な案件に思いますが、財務はどのように分析したのでしょうか?


橋本さん

先ほども述べた通り、売り手さんからは年間売上実績も顧客リストも出てきませんでした。そのため、地元の税理士事務所のサポートを得ながら、自分の手で分析しました。


売上をまとめたデータはありませんでしたが、対象案件のフォトスタジオはGoogleカレンダーで予約管理を行っていたため、予約の実績は確認できました。そのため、手作業で過去の全ての予約を確認し、利用料金をもとに年間の推定売上を作成しました。


また、ビジネスモデルがシンプルだったため、経費となる勘定科目も大まかに予想できました。地代家賃、水道光熱費、消耗品費が主たる経費だったため、それをもとに推定で売上、売上総利益、営業利益まで算出しました。家具や備品のリストアップも自分で行っています。


将来については、事業計画シミュレーションサービスを利用して作成しました。フォトスタジオの事業計画を作るフレームワークはなかったため、飲食店やサロンのものを使って試算しました。その上で、3年目から利益が出るイメージを固めました。


このように分析と試算を手作業で進め、最終的には、私が譲り受けるものと、売り手オーナーに処分してもらうものを選別しました。これらの作業には、税理士のサポートと、自らの経営企画としての経験が活きたと感じます。分析はほとんど自分で行ったため、税理士さんのサポート費用は最終的に20万円でした。

―ご自身の手で丁寧に分析しており、大変素晴らしいと思います。価格交渉はしましたか?


橋本さん

売り手オーナーは、はじめは譲渡価格300万円でプラットフォームに掲載していたようです。その後、200万円に値下げしたところで私との交渉が始まっています。私は、さらに価格交渉を行い、最終的には150万円で合意しました。ただ、価格には反省点もあります。私の事前調査が甘かったところもあるのですが、譲渡後にエアコンが壊れていることに気づき、修理費用に一定の金額が発生しました。


修理費用を価格から相殺する交渉も考えましたが、売り手オーナーも疲弊していたため、これ以上の交渉は難しいと考え、諦めました。しかし、エアコンが壊れていたことを交渉材料として、譲渡価格150万円を15分割で支払う形にさせてもらいました。


また、フォトスタジオの借り主が変わるため、新たに敷金をおさめる必要がありました。3店舗合計で約300万円です。これは、日本政策金融公庫から無金利で350万円を借りて支払いました。借入れへの不安もありましたが、1年間の返済猶予期間があり、また、本業の安定した収入があったため大丈夫だと考えました。


案件概要|3カ月でのM&A成約と副業に向く案件のポイント

取得案件概要

―事業を引き継いでから、運営面で変更した点はありますか?


橋本さん

大きな変更はありません。定期的に利用してくださるお客さんがいたので、店名もサービス名も変えていません。内装は綺麗にしましたが、利用者からみるとオーナーが変わったこともわからないと思います。


現在も従業員は雇っておらず、私にできる範囲で運営しています。私には本業もあるため、ローコストオペレーションを意識しています。具体的には、予約システムで予約管理を行い、スタジオの解錠などはお客さんにセルフで行ってもらっています。立地の良さと、低価格が強みなので、そこは変えずに運営しています。


事業計画では、月次の売上高60万円を設定していました。内装を綺麗にするだけで、取得1年目で月次売上高が60万円を超えました。ただし1年目は設備投資も行ったため、利益としてはマイナスでした。2年目はほぼトントンにして、3年目で黒字化しました。現在は、カットされた給与を補う報酬を得られています。

―橋本さんは、副業M&Aを成功させました。副業M&Aを成約させるポイントを教えてください。


橋本さん

まずは、自分自身の戦略が大切だと思います。私は本業の維持を重視して、本業に影響を与えない範囲でできるビジネスを探しました。会社にも副業の事実は伝えています。


続いて、案件としては次の3つのポイントが重要だと思います。


  • ビジネスの規模が小さい

  • 管理工数がかからない

  • 失敗しても本業の給与でカバーできる


副業に費やす時間は1日あたり2時間〜3時間が限度だと思います。また、接客を伴うビジネスは副業に向かないと思います。私の場合、スタジオの入退出などはお客さんにセルフでお願いしています。どうしてもコミュニケーションが必要な場合は、本業に差し障りのない時間帯に電話しています。本件は、従業員がいなかった点も副業に向くと思いました。

―1年で売上を倍にしていますが、取得時から成長をイメージできていましたか?


橋本さん

売上を伸ばす自信はありました。コロナ禍で、さらに内装が荒れた状態でも利用者がいる点は本件の強みだと感じていました。コロナが落ち着き、内装を整えたら自然と利用者が増えると考えていました。取得後に内装を整えたら、お客さんが口コミで「部屋が綺麗になった!」と広めてくれて、一気に利用者数と売上が伸びました。


月並みですが、案件検討のときから対象のビジネスの魅力を見つけて、自分が何をしたらビジネスを成長させられるかじっくり考えると良いと思います。そのためには、求める情報を売り手さんから引き出すための言葉選びやコミュニケーション方法が大切です。


副業として自然な成長を目指す|シニア向けサービスとの連携も検討


―この度は、改めて成約おめでとうございます。レンタルフォトスタジオのビジネスをどのように伸ばしていきますか?


橋本さん

ありがとうございます。ビジネスを過度に大きくしようという考えはありません。あくまでも副業として維持できる範囲での成長を目指します。「なくなると困る」と言ってくださるお客さんもいるため、ビジネスを長続きさせたいです。競合のスタジオができても、お客さんとの関係値でビジネスを維持できると考えています。売上が下がった場合は、Webサイトを本格的に改修して集客力を高めます。


また、「場所」という特性を活かして、今後はシニアを元気づけるサービスも始めてみたいです。私は給与カットがあるまで起業を考えたことは一切ありませんでした。それにも関わらず、50代でM&Aを行い、現在はレンタルフォトスタジオビジネスのオーナーです。私にできたことは他の人にもできると思うので、シニアのモチベーションにつながるようなビジネスを展開したいです。


具体的には、スタジオを使って、シニア向けのエステを行ったり、シニア向けの写真撮影も考えています。このような取り組みの中で、若手のエステティシャン、ヘアメイク、カメラマンのスキルアップ、認知の機会を作り、さまざまな人にワクワクする体験を届けたいです。そのためにも安定した利益を生む現在の体制をしっかり維持します。


―ありがとうございます。最後に、個人でM&Aを成約させたいと考えている買い手の方にメッセージをお願いします。


橋本さん

M&Aを成約させるためには、失敗を恐れない気持ちが大切だと思います。実際には、専門家の支援を受けながらしっかりとリスクを見定めますが、失敗を恐れて何も行動しないのは大きな機会損失です。自分ひとりで悩んでいるよりは、売り手さんや専門家と話した方が成約が近づきます。


そして副業M&Aの場合は、個人の情熱よりも副業に向くかどうかの合理性の方が大切です。合理的に案件を選択肢、取得した後の発展の中で自分のやりたいことを結びつける思考ができると良いと思います。


―ありがとうございました!橋本さんのビジネスの今後の発展を楽しみにしています!


「個人M&Aなら、M&Acompass」

M&Acompassは、個人M&Aの買い手に対する伴走支援です。これまでM&Aの専門家のサポートが十分に届いていなかった個人の買い手向けの伴走支援であり、個人M&Aの成約を目指すためのM&A戦略立案・案件探しといった初期的な工程からクロージングまでを支援するサービスです。


「M&Acompass」では、毎週さまざまなテーマでセミナーを開催しています。


また、伴走支援の一部を体験していただく趣旨で、オンライン無料体験会も開催しています。個人M&Aに関する疑問や課題に対して、現役のM&Aコンサルタントが提案・アドバイスさせていただきます。オンライン無料体験会もお気軽にご活用ください!


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