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3カ月の案件探しを経て成約|個人M&Aの勘所を知ってからの分析・交渉が楽しくて仕方なかった

更新日:4月22日

製薬会社で営業の経験を積み重ねた前崎さんは、自らのビジネスを始めるために個人M&Aの活用を決意しました。本業の退職を想定したうえでM&Aに着手し、退職から2カ月後に見事に成約を実現しています。


「お相手の状況を探ったうえで適切な提案を行う点は、営業もM&A交渉も同じだと感じた」という前崎さんは、対象会社を分析する作業が楽しくて仕方がなかったといいます。幅広いM&A案件の分析と交渉を積み重ねて成約を実現させた本成功事例は、多くの個人の買い手の読んでほしいものです。


今回の記事では、前崎さんの成約を時系列に沿って紹介します。実際に手を動かしながらM&A案件の分析方法を習得した点や、さまざまな業種の検討を行ったうえで交渉をすすめる 案件をしぼった点は、成約を目指す個人の買い手の皆様の参考になると思います。ぜひ最後まで読んでみてください。


【目次】


公式LINE

前職では営業一筋|金銭的なリスクが低い起業手段として個人M&Aを選択

河井さん

―はじめに、ご経歴について教えてください。


前崎さん

私は、大学卒業後から製薬会社の営業の仕事一筋でした。支店のマーケティングなどの業務に携わった経験もありますが、キャリアの大半を営業職として形成してきました。

―そうしたご経歴の中でM&Aに関心を持ったのはどのようなタイミングでしたか?

前崎さん

そもそも自分でビジネスを始めたいと考えた背景には、製薬業界の成長率の頭打ちの問題がありました。私が属していた頃、製薬業界では営業の人数も減っており、給料も上げ止まりだと感じる場面が多くありました。終身雇用制だったため、働き続けていれば収入は安定するとも考えていましたが、仕事に退屈さを感じていたのも事実です。


このような背景から起業を決意しました。一方で、ゼロからの起業は、ビジネスを軌道に乗せるまでに時間、労力、お金がかかるため選択肢にありませんでした。フランチャイズも検討しましたが、知れば知るほどフランチャイズのビジネスモデルは本部が儲かるシステムだと感じ、フランチャイジーとして支払うロイヤリティは無駄だと考えました。むしろフランチャイズ本部を運営したいと思いました。


このような比較検討があり、最終的にM&Aを手段とした起業に焦点をしぼりました。M&Aは、取得時にまとまった資金が必要ですが、対象会社のビジネスモデル自体はすでにあるため、それを維持することで来月の売上や利益が見えやすいと考えました。M&Aについて調べれば調べるほど、自分に向いていると感じたことを覚えています。


これは実際に案件の交渉を始めてから感じたことですが、営業として培った知見はM&Aの交渉にも大いに活かせました。製薬業界の営業では、さまざまなエビデンスを基に、営業先である医療機関や医師のニーズおよびアンメットニーズ(患者の潜在的なニーズ)を探り、データに基づいた提案を行います。


また、会話に用いる言葉や話し方を工夫して、いかに信頼を得るかが重要です。これらの点は、M&Aにおける交渉でも同様だと感じました。対象会社や売主さん自身のご状況および課題を正確に把握し、それを解決する手段を丁寧にお伝えしていくことが重要です。


​​​​​案件探しに3カ月|業種を問わずM&A案件には見るべきポイントがある

案件探し

―M&Aを始めるにあたり、どのようなことに取り組みましたか?

前崎さん

M&Aを開始したのは、今から2年ほど前ですが、当初はバトンズに登録し、ひたすら案件を見ていました。少なくとも数百件の案件をバトンズ上で確認しています。当時は、興味関心のみで閲覧し続けていました。今になって振り返ると、興味をもとに案件の情報を読み続けても意味がありませんでした。


―それは、なぜでしょうか?


貴社のセミナーで聞いた内容でもありますが、実際に実名交渉に進まないと案件の具体的な情報を把握できないためです。抽象的な情報のみで案件を分析した気になっていても、実際のところM&Aは進んでいないのだと思うようになりました。


また、貴社のセミナーを通して、成約のためには平均して16件の実名交渉が必要だと知り、それからはバトンズ上で対象会社と秘密保持契約を締結して、積極的に実名交渉を行うようになりました。


そして、実名交渉を開始すると、対象会社のビジネスモデルがクリアに理解できるようになり、自分の経験をどのように活かせば対象会社の成長を実現できるかがイメージできるようになりました。このあたりからM&Aにおける分析と交渉がとても楽しくなりました。


「自分の経験を活かせる仕事は何でもするつもり」だったため、はじめは業種やエリアをほとんどしぼらずに、興味が湧いた案件はどんどん実名交渉に進めました。


一方で、次のような課題を感じていたのも事実です。


  • 決算書を受領しても、分析方法がわからない

  • ビジネスの裏側に隠れているリスクを想像できない


これらの課題を解決するために、貴社の個人の買い手に対する伴走支援「M&Acompass」の活用を決意しました。物事を成すには先行投資が必要と考えていたため、M&Acompassの活用は自然な流れだったと思います。専任のコンサルタントとオフラインの面談を重ねるうちに、M&Acompassは、成約を目指して一緒に頭を悩ませてくれるサービスだとも理解できました。


―ありがとうございます。M&Acompassのご活用を開始した後、案件探しに変化はありましたか?


前崎さん

専任のコンサルタントと相談したうえで、案件探しの条件を整理しました。M&Acompassに加入した後は、次の条件で案件を探しています。


  • 業種:土木系や医療系以外

  • エリア:北海道と東北以外

  • 規模:譲渡価格1億円未満


―興味のある案件のみを狭く検討するのではなく、「何を除外するのか」という観点から条件をしぼった点は成約に大きく貢献したと思います。


前崎さん

私が培ってきた営業の知見の中には、業種を問わず活かせるものが多いと感じていました。そのため、どうせならこれまでに経験したことがない業種で起業したいと考えていました。エリアと規模については、取得が難しいものだけを条件から外し、他は積極的に検討しました。


―M&Acompassのサービスで印象に残っているものはありますか?


前崎さん

「案件評価シート(※1)」のサービスが非常に強く印象に残っています。案件評価シートでは、貴社がM&A案件の評価を行ってくれます。多いときは、週に10件前後の案件に関するコメントバックをもらいました。「M&Aの専門家は、このような観点で案件を見るのか」と素直に勉強になり、貴社のコメントを読むのが楽しくて仕方なかったです。


また、案件評価シートを通じて、業種を問わずM&A案件には見るべきポイントがあると理解できたため、交渉もどんどん積極的になりました。


※案件評価シート:M&Acompassの会員の方に興味のあるM&A案件の情報を送ってもらい、それに対して専任のコンサルタントがM&Aを進める上でのポジティブなポイントや注意点をコメントバックするサービス


―交渉では、どのような点に気をつけていましたか?


前崎さん

対象会社に実名交渉を申し込む際、バトンズには「実名交渉を申し込む理由」を記載する部分があります。この点について、第三者から見て適切な理由を書けているかどうかを常にチェックしていました。


例えば、福祉系の案件に実名交渉を申し込む際は「医療業界での経験を活かす」旨の記載をしました。食品の販売を行う会社に実名交渉を申し込む際は「ものを売る営業の経験を対象会社の成長に活かせる」旨の記載をしました。これらの理由が明確でない実名交渉の申し込みは売主に失礼だと考えていたため、適切な理由の記載を徹底しました。


このような案件探しを約3カ月続け、最終的に交渉を進める案件を4件にしぼることができました。


4件の候補先から1件を選んだ経緯|フランチャイズを運営するエステサロンを取得

成約

―交渉を進めた4件はどのような案件でしたか?

前崎さん

4件の概要は次のものでした。


  • 1件目:健康食品の製造販売会社

  • 2件目:人材派遣会社

  • 3件目:健康食品の通信販売会社

  • 4件目:エステサロン


―業種がバラエティに富んでいる点が素晴らしいと思います!


前崎さん

どの業種においても、自分の知見を活かして対象会社の成長に貢献できるイメージがありました。このようにさまざまな業種で起業の可能性を追求できる点はM&Aの優れたメリットだと思います。


各案件について、売主と丁寧にコミュニケーションを取り、ビジネスの実態を正確に把握できるように努めました。そのなかで、次の理由から3つの案件を見送り、4件目の「エステサロン」を最終的に取得しました。


  • 1件目「健康食品の製造販売会社」:譲渡対象に含まれる従業員が想定よりも多く、折り合いがつかなかった

  • 2件目「人材派遣会社」:他の買い手との交渉が上手くいかなかった理由が納得できないものであり、そこにリスクが潜んでいると感じた

  • 3件目「健康食品の通信販売会社」:業務フローが機械的に定められており、「人間関係を密に構築して事業の成果につなげたい」との私の考えに馴染まなかった


4件目のエステサロンは、関東地方や東海地方に10店舗以上のエステサロンを運営している会社です。対象会社はフランチャイズ事業を本部として展開していたこともあり、「フランチャイズのビジネスモデルは本部が儲かるシステム」との私の考えとの親和性も高かったです。フランチャイズ運営のノウハウがあれば、自分で新しいビジネスを構築した際に、それもフランチャイズ展開できるとも考えました。


また、対象会社は、エステ機材の製造販売を行う会社がグループ会社にあり、機材の仕入について明確な強みを持っていた点も安心につながりました。


―エステサロンの売主さんはどのような方でしたか?


前崎さん

はじめはZOOMでやりとりしましたが、人当たりが良く、柔らかい雰囲気の方でした。フランチャイズ加盟者について、「良い人にのみ加盟してもらうようにしている」とおっしゃっていた点が印象に残っています。このように、売主さんは人をしっかりと見定める人でした。そのようななかで、「前崎さんならお店を任せられる」と感じてもらえた点は非常に嬉しかったです。


―対象会社のデューデリジェンスはどのように進めましたか?


前崎さん

形式的なデューデリジェンスは実施しませんでした。一方で、対象会社の確認すべき点について、M&Acompassの専任コンサルタントに相談しており、売主さんにさまざまな質問を継続的に投げていました。


また、本件では日本政策金融公庫からの借り入れも行いました。対象会社の資料を共有し、日本政策金融公庫からもさまざまな質問がありました。その点では、金融機関の目を通して実施的にデューデリジェンスが行われたような状況もあったと考えています。


そのうえで、クーポン券や回数券のように後から売上や利益がディスカウントされる施策も行っていない旨を確認しました。さらに、スキームは事業譲渡を選択したため、一般的な簿外債務のリスクもありませんでした。



​​取得案件概要|フランチャイズ本部と3店舗を事業譲渡で取得


―ここで、前崎さんの成約案件を改めて整理してみたいと思います。


案件概要

―取得対価を分割支払いにできた点は大きな意義がありますね。


前崎さん

はい。取得時に2,000万円を一括で支払い、残りの1,400万円は、事業が存続する限りコンサルティングフィーとして毎月13万円+利息を支払う形に落ち着きました。取得時のキャッシュの流出をおさえることができたため、運転資金や投資に回せるお金を確保できた点がよかったです。


―対象会社は10店舗以上を経営していたとのことですが、そのなかからどのように3店舗を選びましたか?


前崎さん

直営店であるという点と、私の居住エリアから管理しやすい店舗を選びました。意向表明書には5店舗を譲り受ける内容を記載しましたが、最終的には3店舗となり、その分、取得価格も300万円下げてもらいました。


―取得やクロージングについて印象に残っている出来事はありますか?


前崎さん

この度のM&Aをスタッフに伝えるタイミングはもっと工夫できたかもしれません。本件では、クロージングの1週間前にスタッフにM&Aの件を伝達しました。後になって思うと、もう少し早いタイミングで計画的な伝達ができたとも思います。


勇気をもってM&Aの最初の一歩を踏み出してほしい|実際の経験に勝るものはない


―この度は、改めて成約おめでとうございます。取得したビジネスの今後の展望を聞かせてください。

前崎さん

ありがとうございます。現在は、私の営業の知見も活用しながら店舗の売上を向上させる施策に焦点を当てています。お店を繁盛させたいというよりは、スタッフの方の給与を上げたいと考えています。売主さんが作り上げてきた土台と私の経験で相乗効果を実現し、関係者に「M&Aして良かった」と思ってほしいです。


また、M&Acompassの支援を受けながら実際に成約を経験し、M&Aは決して難しいものではないと感じました。そのため、私の経験を個人の買い手の方に伝えたいとも思っています。そのなかで、美容系の起業サポートや、副業での収入を目指す方のサポートにも力を入れていきたいです。


―ありがとうございます。最後に、個人でM&Aを成約させたいと考えている買い手の方にメッセージをお願いします。


前崎さん

個人がM&Aを成功させるために必要な情報やノウハウはM&Acompassに揃っており、専任のコンサルタントが丁寧にM&Aについて教えてくれます。このような環境さえあれば、あとは勇気をもってM&Aの最初の一歩を踏み出すだけです。


座学でM&Aについて学ぶよりも、専門家のサポートを受けながら実際に行動する方が圧倒的に早くスキルアップできます。また、一つのビジネスに固執せず、実名交渉を通じてさまざまなビジネスを知ることで、新しい考え方や視点を発見できます。そうした意味においても、まずは実名交渉を開始して、売主さんとコミュニケーションを取ると良いと思います。


―ありがとうございました!前崎さんのビジネスの今後の発展を楽しみにしています!

「個人M&Aなら、M&Acompass」

M&Acompassは、個人M&Aの買い手に対する伴走支援です。これまでM&Aの専門家のサポートが十分に届いていなかった個人の買い手向けの伴走支援であり、個人M&Aの成約を目指すためのM&A戦略立案・案件探しといった初期的な工程からクロージングまでを支援するサービスです。


「M&Acompass」では、毎週さまざまなテーマでセミナーを開催しています。


また、伴走支援の一部を体験していただく趣旨で、オンライン無料体験会も開催しています。個人M&Aに関する疑問や課題に対して、現役のM&Aコンサルタントが提案・アドバイスさせていただきます。オンライン無料体験会もお気軽にご活用ください!


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